Side EFFECTS LAB

OF THE UNIVERSITY OF TOKYO
中井悠 主催
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おしらせ

2023年11月23日

中井悠が美術家の水内義人さんと一緒にアーティストトークを行います。エアコンや空気清浄機を作っているダイキンがお金を出している講座シリーズの一環で、空気とアートの関わりをテーマにということだったので、「体の中の空気たち」と題して屁という現象を最近のプロジェクトに絡めるパフォーマンスをすることにしました。東京大学駒場キャンパスの18号館ホールで12月6日の18時45分から。

2023年11月3日

サイドプロジェクトの一環としてIsland Eye Island Earの「テストラン」を北海道の江差町にある鴎島で11月25日と26日に行ないます。そのあと札幌市民交流プラザで、IEIEを来年度発表するノルウェーのロフォーテン国際芸術祭のキュレーターなども参加する関連シンポジウム「IEIE, Reflected: phase 3: なんぴとも孤島にあらず:クナーヴェルシェアから鴎島へ(1974-2024)」を開催します。

2023年7月10日

12月に行なった東京現音計画とのコラボレーションで行なったZOOMUSICコンサートに関する「プレテクスト/思い出話」が表象文化論学会のオンラインジャーナル《REPRE》に掲載されました。コロナ禍における3年越しのプロジェクトの経緯を辿る内容になっています。

2023年6月13日

副産物ラボが主催する「影響学セミナー」の第6セミナーとして9月30日(土)に音楽家の小沢健二さんをお呼びして「東大900番講堂講義」(《イメージの影響学》)と題した、新作教科書と音楽演奏のある「アトラクションのような講義」を駒場キャンパスの900番講堂で行なっていただきます。関心がある方は、選抜がありますので特設受講申込ページから応募してください。

2023年3月14日

4月5日6限 (19:00~20:30)に副産物ラボを含む文理融合ゼミナール「研究入門」の共通ガイダンスをオンラインで行ないます。各教員2~3名程度の配属となります。詳細はこちらをご覧ください。

2023年3月1日

3月4日の17時から、paraという東京の新しい演劇スペースで中井悠が「無題(仮)」という題名のレクチャーをします。「作品」とはなにかを考えるシリーズの一環として呼ばれました。概要と申込方法はこちらから。

2023年2月25日

『現代思想』3月号(ブルーノ・ラトゥール特集)に、中井悠が「アリのラトゥール化(反省ループ一周分の遅れ」という論文を寄稿しています。久しぶりに日本語でまとまった文章を書きました。

2023年2月2日

12月に東京現音計画と開催したZOOMUSICコンサートの映像を限定公開しています。

2023年2月1日

北海道で進めている、デーヴィッド・チュードアの未完プロジェクト《Island Eye Island Ear》の今日的な実現可能性を探るSIDE PROJECTの一環として、札幌文化芸術交流センターで昨年の夏に引き続き二度目の展示を行ないます。今回は「ロケーション・ハンティング」というテーマのもと、これまでに探検した島の情報とともに、いく先々で出会った専門家の方とのインタヴューを調査の副産物として展示します。

2023年1月29日

ベルリンで開催中のCTMフェスティヴァルの一環として、2月2日に中井悠が「Karmic Relationships, Accelerated: Influences and Incidents in India (and Beyond)」と題したレクチャーを行ないます。詳細はこちらから。

2022年12月6日

東京現音計画とのコラボレーションで「東京現音計画#18〜クリティックズセレクション2:中井悠〜ZOOMUSIC」を12月19日(月)にオンラインとオフラインで同時開催します。詳細はこちらから。

2022年10月30日

11月5日の14時からオンライン開催される東京大学芸術創造連携研究機構シンポジウム「芸術がつなぐ学術の協働」において副産物ラボの佐竹真由子、有吉玲と中井悠が《Vanishing Mediators|消えゆく媒介者たち》と題した40分程度の講演=公演を行ないます。登場は15時25分からです。中井はそのあとのパネル討論にも出演します。詳細はこちらから。

2022年10月20日

10月26日から「影響学セミナー」を開催します。第一セミナーは情報科学者の神成淳司さんを呼んで、彼が長年取り組んできた「AI農業」をはじめとするさまざまな研究を、とりわけ「AI」というイニシャルに込められた複数性を軸にしながらたどります。一般向けには無料でオンライン配信しますので、ご高覧いただけると幸いです。詳細はこちらから。

2022年10月5日

ベルギーの現代音楽研究機関Orpheus Instituteで開催される「作曲家=演奏家」という形象をめぐる学会で、「Like an Instrument That Only I know How to Play」と題した基調講演を中井悠が行ないます。主にデーヴィッド・チュードアの実践を辿りながら、「作曲家」と「演奏家」と「聞き手」という三つの形象の合間に「楽器(制作者)」という第四項を入れることによって、ホスト側が構想している枠組みをくつがえす話をします。日本語の情報はこちらにも。

2022年8月18日

孤島の楽器化を目指したチュードアの未完のプロジェクトの今日における実現可能性を探るSIDE PROJECT。その一環として札幌でIEIE, Reflected [Phase 1]を開催します。8月21日にモエレ沼公園で超音波スピーカーを用いたサウンドビームの公開実験を行なったあと、8月28日から9月4日にかけて札幌文化芸術交流センター(SCARTS)で「IEIEクロニクル」という《Island Eye Island Ear》に関わる出来事の表と裏の歴史を時系列にたどる展示を共同キュレーションします。

2022年7月1日

2月に北海道で行なった「サイド・プロジェクト」の調査旅行について中井悠が書いた二本立てのログが公開されました。「ログ(A):島の耳目をそばだてる」「ログ(B):郷に入らさると
「サイド・プロジェクト」についてはこちらから。

2022年6月15日

7月1日から11日にかけてベルリンで開催されるデーヴィッド・チュードア・フェスティヴァルUnexpected Territoriesに中井悠が参加します。全体のシンポジウムのほか、Island Eye Island Earをめぐるレクチャー・ワークショップや、Monobirdsのパフォーマンスを行ないます。

2022年6月1日

カナダのカルガリーで6月8日から11日にかけて開催されるアメリカ音楽楽器学会にて中井悠が「Archival Weatherings」という発表を行ないます。

2022年5月15日

中井悠が執筆した「Material Bias」というチャプターが含まれたMaterial Cultures of Music Notation: New Perspectives on Musical InscriptionがRoutledgeから出版されました。
マテリアル・バイアスについてはこちらから。

2022年4月28日

今週末、開催されるzoomusicのコンサートに中井悠が参加します。No Collectiveが東京現音計画と行なったヴァージニア大学におけるヴァーチャル・レジデンシーの成果発表となります。詳細はこちらから。

誰何

中井悠が東京大学で主催する
副産物ラボ(s.e.l.o.u.t.)では、
副産物や副作用などの現象に
注意を向けることで、
パフォーマンスの物理的/非物理的な
インフラを探求しています。

研究

パフォーマンスと副産物の問題系を軸に、そこから派生したり、そこで束ねられたりする関連領域の研究を進めています。

パフォーマンス

様々な形式のパフォーマンスを制作・実演しつつ、色々な現象をパフォーマンスという観点から捉えています。

出版

発見したこと、制作したこと、構想したことを、多様なプラットフォームを使って、世界に向けて公開しています。

中井 悠

No Collectiveのメンバーとして音楽(家)、ダンスもどき、お化け屋敷、わらべ歌などを世界各地で制作、
出版プロジェクトAlready Not Yetとして実験的絵本や子供のことわざ集などを出版。

制作のかたわらで実験・電子音楽、影響や癖の理論などについての研究を行なう。
デーヴィッド・チュードアの音楽の研究書Reminded by the Instruments: David Tudor’s Music(オックスフォード大学出版局、2021年)を出版。

東京大学大学院総合文化研究科(表象文化論)+芸術創造連携研究機構准教授。
令和4年度東京大学卓越研究員

未来

パフォーマンスなどの公演、レクチャーなどのイベント、書籍や論文などの出版物の予告

ヴァーチャル・レジデンシー 
ZOOMコンサート

日時:2022年4月30日22:00/5月1日10:00
場所:https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/my/nocollective

パフォーマンス

ヴァージニア大学大学院におけるヴァーチャル・レジデンシーの成果発表として、中井/No Collectiveと東京現音計画がヴァージニアの作曲家たちのZOOM音楽を演奏するコンサートを行ないます。時差を考慮して、日本時間の夜(ヴァージニア時間の朝)と日本時間の朝(ヴァージニア時間の夜)の二公演を行ないます。二枚組の絵画のようなコンサートになる仕掛けも考えているので、もし観れる人は両方お越しください。

ヴァーチャル・レジデンシーについてはこちらから。

出版

MATERIAL CULTURES OF MUSIC NOTATION

日時:2022年5月
出版社:ROUTLEDGE

Floris SchuilingとEmily Payneが編集した音楽の物質文化をめぐる新しい論考集 Material Cultures of Music Notation: New Perspectives on Musical Inscription に「Material Bias」というチャプターが掲載されます。

マテリアル・バイアスについてはこちらから。

研究

アメリカ楽器学会発表

日時:2022年6月8日-11日
場所:カルガリー、カナダ

American Musical Instrument Society で実験電子音楽の楽器のアーカイブに関する問題をめぐる以下のグループ発表に参加します:ARCHIVING POST-1960s MUSICS: FOUR EXPERIENCES OF ENGAGEMENT

UnEXPECTED territories
デーヴィッド・チュードア・フェスティヴァル

日時:2022年7月1日-10日
場所:ベルリン、ドイツ

ベルリンで10日間に渡って開催されるデーヴィッド・チュードア・フェスティヴァルに参加します。全体のシンポジウムの他、Island Eye Island Earをめぐるレクチャー・ワークショップ、Monobirdsのパフォーマンス、そしてその他の演奏のサポートなどいろいろとやる予定です。

その他のチュードア関連のイベントについてはこちらから。

パフォーマンス
研究

ORPHEUS INSTITUTE
キーノート・スピーカー

日時:2022年10月1日
場所:ゲント、ベルギー

Orpheus Instituteで開催される「演奏者=作曲家」という形象をめぐるシンポジウムで「Like an Instrument That Only I Know How To Play」と題した基調講演を行ないます。

研究

SUBCONTINENTAL
SYNTHESIS

日時:2022年11月
出版社:MIT Press

Paul Purgasが編集した、インドの電子音楽スタジオをめぐる論考集 Subcontinental Synthesis: Electronic Music at the National Institute of Design, India 1969–1972 にチュードアとインドの多層的な関係を論じたチャプターが掲載されます。

研究

影響学セミナー

日時:2022年10月29日-2023年1月
場所:ZOOM webinar

令和四年度「東京大学卓越研究」に「影響概念の流出史」が採択されたことを受けて、ラボ・メンバーたちと企画した一連の《影響学セミナー》を開催します。一般向けには無料でオンライン配信しますので、ご高覧いただけると幸いです。また副産物ラボでは《影響学会》の設立も計画しており、この一連のセミナーはそれに向けた助走の役割もありますので、活動にご関心がある方はぜひご連絡ください。詳細はこちらから。

パフォーマンス

《Vanishing mediators|消えゆく媒介者たち》

日時:2022年11月5日 14時-17時
場所:ZOOM webinar

東京大学芸術創造連携研究機構シンポジウム「芸術がつなぐ学術の協働」において副産物ラボの佐竹真由子、有吉玲と中井悠が《Vanishing Mediators|消えゆく媒介者たち》と題した40分程度の講演=公演を行ないます。登場は15時25分からです。中井はそのあとのパネル討論にも出演します。Webinarの登録方法など詳細はこちらから。

パフォーマンス

東京現音計画#18
中井悠_ZOOMUSIC

日時:2022年12月19日
場所:ZOOM/東京、杉並公会堂小ホール

東京現音計画のクリティックズ・セレクションという枠組みで、ZOOMUSICのコンサートを企画します。オンラインとオフラインの同時展開で、オフラインはテレビ番組や映画の収録場面を観覧するようなかたちになると思いますので、どちらで視聴するかをセレクトしてお越しください。詳細はこちらから。

またこのコンサートで演奏されるzoomusic作品を公募します。冒険的なアイデアをお待ちしています!詳細はこちらから。

研究

KARMIC
RELATIONSHIPS,
ACCELERATED

日時:2023年2月2日
場所:ベルリン、Kuppelhalle/YouTube

ベルリンで開催されているCTMフェスティヴァルという実験音楽のイベントの一環として、チュードアとインドの関係を中心に据えつつ、「カルマ」という概念を軸にしながら、その前日譚たる神智学/人智学など西洋神秘主義とインドとの交錯の歴史を振り返り、その後日譚として生じた一連の副産物を辿る講演を行ないます。オンライン配信されます。詳細はこちらから。

研究

IEIE, REFLECTED:
PHASE 2:
ロケーション・ハンティング

日時:2023年2月4-14日
場所:札幌文化芸術交流センターSCARTS

北海道で進めている、デーヴィッド・チュードアの未完プロジェクトの今日的な実現可能性を探るSIDE PROJECTの一環として、札幌文化芸術交流センターで昨年の夏に引き続き二度目の展示を行ないます。今回は「ロケーション・ハンティング」というテーマのもと、これまでに探検した島の情報とともに、いく先々で出会った専門家の方とのインタヴューを調査の副産物として展示します。

研究

「無題(仮)

日時:2023年3月4日17時ー18時30分
場所:PARA(東京都 千代田区 神田神保町 2-20−12 第二冨士ビル 4F)

paraという東京の新しい演劇スペースで「作品」とはなにかを考えるシリーズの一環としてレクチャーをします。概要と申込はこちらから。

研究

影響学セミナー
《イメージの影響学》
小沢健二
「東大900番講堂講義」

日時:2023年9月30日
場所:東京大学駒場キャンパス900番講堂

副産物ラボが主催する「影響学セミナー」の第6セミナーとして音楽家の小沢健二さんをお呼びして「東大900番講堂講義」(《イメージの影響学》)と題した、新作教科書と音楽演奏のある「アトラクションのような講義」を行なっていただきます。関心がある方は、選抜がありますので特設受講申込ページから応募してください。

現在

中井が個人もしくは学生や他の研究者とともに取り組んでいる進行中の研究や企画
研究

影響の流出史

合理的に説明できない関係を説明するために乱用される「影響」というオカルト的な概念の由来を探る考古学的調査。インフルエンティアから、インフルエンザを経由して、インフルエンサーまで。【大学院授業】【令和4年度「東京大学卓越研究者」採択研究】

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影響学ジャーナル

「影響」という概念を実践的に研究するプラットフォームとして、国際影響学会の運営と影響学ジャーナルの編纂を行なっています。この出版物では毎号、特定のテーマに「影響」というレンズを通して多角的に焦点を当てていきます。

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出版
研究

影響学セミナー

令和四年度「東京大学卓越研究」に「影響概念の流出史」が採択されたことを受けて、一連の《影響学セミナー》を開催します。

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研究

経験の上演

「パフォーマンス」という、アートはもちろん、ビジネスでもテクノロジーの分野でも乱用されている概念のルーツを、経験論の系譜、とりわけプラグマティズムのさまざまな展開にたどりながら、今日におけるその実践的有効性を探る。【後期課程授業】

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パフォーマンス

アルシ・コレオグラフィーズ

人間のクセを個人につけられた無意識の振り付けのネットワークとして対象化し、参加者同士の相互観察と反省を通じてダンスを引き算的に発見する試み。【前期課程(文理融合プログラム)授業】

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パフォーマンス

(偽)実験音楽史

「実験音楽」の歴史と問題系を振り返りながら、ありえたかもしれない実験音楽の歴史と問題系を二十数年間にわたって構想・妄想しつづける試み。【前期課程(文理融合プログラム)授業】

近日公開予定
研究

サイド・プロジェクト

北海道を拠点にデーヴィッド・チュードアの未完の作品 Island Eye Island Ear の現在における実現可能性を探りつつ、そのような探求が生み出す副作用や副産物にも耳目を傾けていく長期プロジェクト。

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出版

9 EVENINGS 再ブッキング

芸術と工学を結びつけた1966年のイベントを、開催直後に計画され放棄された記録本の原稿をもとに、それからの半世紀という時間の流れも考慮に入れつつ、二重化された記録の記録として顧みる。

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パフォーマンス

ZOOM音楽

コロナ禍において実験音楽を教えるやりきれなさをどうにかするために、ZOOMでしか演奏と視聴ができない音楽を制作する教育的エクササイズのシリーズ。【前期課程(文理融合プログラム)授業】

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出版

「調査的感性術」翻訳

エヤル・ヴァイツマンとマシュー・フラーによる「調査的感性術」のマニフェスト的な書籍、またその他のフォレンジック・アーキテクチャー関連の出版物の翻訳。

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研究

マテリアル・バイアス

電子回路を正常に作動させるために必要なバイアスを拡張するかたちで、音楽パフォーマンスを実現するために介在するさまざまなマテリアルを制約という否定的観点から理論化する試み。

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研究

チュードア・ルネサンス

ベルリンにおける10日間のチュードア・フェスティバル、イスタンブールにおけるチュードア・ラボの設立計画など、中井の本を起点として世界各地で進行中のチュードア関連プロジェクトの数々。

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ヴァーチャル・レジデンシー

ヴァージニアの作曲家と東京の演奏者を隔てる時間と言語の差を調整する「消滅する媒介者」としてふるまいながら、zoom固有の音楽コンサートを遠隔操作で制作していくコラボレーション。

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パフォーマンス

過去

パフォーマンスなどの公演、レクチャーなどのイベント、書籍や論文などの出版物の記録

REMINDED BY THE INSTRUMENTS: 
DAVID TUDOR'S MUSIC
[2021.3]

これはデーヴィッド・チュードアという名前の音楽家がなにをやったか、そしてそのようなことをどのように、またなぜやったかについての本です。そしてときおり、なにかをやったとき彼が考えていたのかもしれないことについての本でもあります。そのようなことを書くために、チュードアがあとに残したたくさんのマテリアルをあたかも巨大なパズルのピースであるかのように組み合わせていきました。重要なことは、全体像がそのようなプロセスの内側から、ある種の副産物や副作用として立ち上がるということです。だから読んでいない人にむけて手短な概観を述べるときはいつも、なんだかズルをしているよう気持ちになるのです。書いた自分からすると、いちばん重要なことは、個別のパズルをひとつずつ解いていく過程にあり、その帰結として浮かび上がるかもしれない哲学や理論や図式ではありません。その意味で、これはすこしパフォーマンスに似た本かもしれませんが、もしそうだとしたら、デーヴィッド・チュードアという類い稀なパフォーマーの研究書にふさわしいことでしょう。

SOUNDING THE PERIPHERIES
[2021.7]

ザルツブルグの近代美術館で開催されたデーヴィッド・チュードア展のカタログ用に新しいエッセイを書きました。チュードアがケージとの最後のコラボレーション・プロジェクトになったOceanのために手がけたSoundings: Ocean Diary (1994)という作品の詳細な分析を通じて、Reminded by the Instrumentsにおいては議論の周縁にわざと追いやったトピックである、チュードアとケージのあいだの個人的な関係を掘り下げています。作品分析を通じて、ケージの音楽観のチュードアによるかなり特異な翻訳を明らかにしたあと、長期にわたる二人の友人関係を記録する謎めいた一連の証拠が読者に示され、その解読が呼びかけられます。

ZOOMUSIC NO.1
[2021.7]

東京大学の前期過程向け文理融合プログラムで担当している授業の履修生によるZOOM音楽コンサートを行ないました。

MONOBIRDS: FROM AHMEDABAD TO XENON
[2021.10]

1969年12月にデーヴィッド・チュードアは、インドのアーメダバードにある国立デザイン研究所に当国初の電子音楽スタジオを設立しました。その際、アメリカから持ち込んだモーグ・シンセサイザーを使って演奏を行ない、一連の録音を作り出しました。そして10年後の1979年3月にチュードアは、みずからが《Monobird》と名付けた、インドから持ち帰った録音のひとつを入力音源として使った無観客のコンサートをニューヨークのXenonというディスコで行ないました。そのコンサートの録音も、それからずっと未発表のままアーカイブに眠っていました。2017年ごろ、サウンド・アーティストのヤーコブ・キルケゴールが、Xenonコンサートを企画したE.A.T.のジュリー・マーティン宅で79年の録音を発掘しました。同じカセットをゲッティー・センターのチュードア・アーカイブで発掘していた中井が調査したところ、この録音の音源がチュードアのインド滞在にまで遡れることがわかりました。そこで、ジュリーを入れて三人で、この録音をリリースすることを考えはじめました。

キルケゴールが主催するデンマークのTOPOSからリリースされたこのアルバムは、アーメダバードで録音された《Monobird》音源と、その録音を入力音源としたXenonのパフォーマンスの録音を2枚のLPレコードにまとめ、それらの関係と歴史を分析する中井による20ページの長編論考《When David Tudor Went Disco》をセットにしたものです。200枚限定で売り出されましたが、すぐに完売したようです。【リンク】

【soundohmによって2021年度のベスト・リリースに選ばれました】

MIGRATION OF MONOBIRDS
[2021.10]

インドのアーメダバードにある国立デザイン研究所のアーカイブ機関とともに、1960年代から70年代にかけてのインドにおけるE.A.T.の活動を振り返る国際ヴァーチャル連続会議を開催しました。7月30日より隔週の金曜日の夜(19:30 IST=日本時間 23:00)に発表があり、中井は最後の10月1日に登壇しました。

発表はデーヴィッド・チュードアが1969年末にアーメダバードでモーグ・シンセサイザーを用いて制作した奇妙な録音(Monobird)の奇妙な「遍歴(migration)」をたどる話と、そのような自分の研究自体が、もとを辿ればインドにおけるE.A.T.の活動の遠い副産物とみなせるという「話の話(story of the story)」の二段階の構成になっています。

その後、この国際会議のレポートを表象文化論学会のニュースレターに書きました(「アーカイブのゆとり」参照)。MIT出版からこの会議の記録を含む本が近いうちに出版される予定です。

東大新聞インタヴュー
[2022.1]

卓越研究員に選ばれたことで、東大新聞の佐竹真由子さんにインタヴューを受けました。
一時間くらいあれこれ話したことが、とてもわかりやすく、みじかくまとめられています。
【リンク】

LATE REALIZATIONS
[2022.1]

ベルギーのオルフェウス・インスティトゥートから発行されている新しいオンライン・ジャーナルECHOのフィードバック特集号になにか書いてくれと頼まれたので、とりわけゴードン・ムンマのサイバーソニックスとサイバネティックスにおけるフィードバックに対するアプローチの違いを背景に据えながら、チュードアにおけるフィードバックに対する考えの変遷を辿りつつ、最後はそのような観察をしている自分の立ち位置を、No Collectiveの作品におけるフィードバックの事例を考察することで、論述自体の再帰的運動に巻き込んでいくようなエッセイを書きました。タイトルは「(フィードバックにおける)気づきの遅れ」と「後期作品の演奏」をかけています。

また内容にはあまり関係ないかもしれないですが、今回はジャーナルから、ページ・デザインも著者が自分でやってくれと言われました。すこし面倒だったものの、これまでろくでもないデザイナーに勝手にデザインされることにそのつど反発したり我慢したりしてきた身からするととてもうれしいことで、このさきオンライン・ジャーナルの多くはそのようになっていくような気がしました(でもウェブデザインの経験がない研究者は困りそう)。【リンク】

ZOOMUSIC NO.2
[2022.2]

東京大学の前期過程向け文理融合プログラムで担当している授業の履修生によるZOOM音楽コンサートを行ないました。
たまたまだけど、今回はピアノがかなり演奏できる学生が集まったため、ピアノ曲が多くなりました。

サイド・プロジェクト立ち上げシンポジウム
[2022.2]

三年間にわたって北海道で展開するサイド・プロジェクトの立ち上げシンポジウムを札幌で行ないました。中井はIsland Eye Island Earについてまとまった話をしたあと、キュレーターの明貫紘子さんの司会で、SIAFラボの小町谷圭さん、北海道大学CoSTEPの朴炫貞さん、そして多摩美の久保田晃弘さんとディスカッションをしました。

UTOKYO BIBLIO PLAZA
[2022.2]

東京大学教員の著作を著者自らが語る広場で、Reminded by the Instrumentsについて語りました。
たぶん現時点で日本語で出ている唯一の紹介だと思います。
【リンク】

アーカイブのゆとり:インド国立デザイン研究所アーカイブ機関「EXPERIMENTS IN ART AND TECHNOLOGY: INDIA 1960s & 70s」国際連続会議レポート
[2022.3]

2021年夏に参加したインド国立デザイン研究所主催の国際連続会議についてのレポートを表象文化論学会のニュースレターに書きました。
【リンク】

REMINDED BY 
"REMINDED BY THE
 INSTRUMENTS"
[2022.3]

イタリア音楽学会の電子音楽研究グループRISMEに呼ばれて、Reminded by the Instruments をめぐるオンライン討論会に参加しました。音楽は楽器によって思い起こされるものだとするホイットマンの詩の一節をタイトルに掲げた本を書き終えてから三年が経ち(300点以上の画像の著作権をクリアするのに時間がかかったため、書き終えてから出版までに相当時間がかかった)、そのあいだに書いた内容をけっこう忘れてしまったことを踏まえて、今回のイベントに向けた(楽器ならぬ?)本の再読によって思い起こされたことを軸に、イタリアの学者の質問に答えるかたちで、書いたことや書かなかったことについてあれこれ話しました。

MATERIAL BIAS
[2022.5]

中井悠が執筆した「Material Bias」というチャプターが含まれた
Material Cultures of Music Notation: New Perspectives on Musical Inscription
がRoutledgeから出版されました。

REMINDED BY THE INSTRUMENTS書評
[2022.6]

昨年オックスフォード大学出版局から出版したReminded by the Instrumentsの長編レヴューが、
Computer Music Journal(MIT出版)とチェコ共和国のオンラインジャーナルHis Voiceに掲載されました。
ひとつはEzra J. Teboulによって英語で書かれ、もうひとつはJozef Cseresによってチェコ語で書かれていますが、
どちらもけっこう細かく念入りに分析してくれています。
【You Nakai: Reminded by the Instruments (Volume 45, Issue 1)】
【Intermedium Tudor I】【Intermedium Tudor II】

島の耳目をそばだてる:「SIDE PROJECT:《Island Eye Island Ear》再考とその副作用」ログ(A)
[2022.7]

表象文化論学会のオンラインジャーナルREPREに現在、北海道で進めている「サイドプロジェクト」に関するログを寄稿しました。
【島の耳目をそばだてる】

郷に入らさると:「SIDE PROJECT:《Island Eye Island Ear》再考とその副作用」ログ(B)
[2022.7]

SIAF(札幌国際芸術祭)ラボのウェブサイトに現在、北海道で進めている「サイドプロジェクト」に関するログを寄稿しました。
【郷に入らさると】

ZOOMUSIC
[2022.12]

東京現音計画に呼ばれて、「クリティックス・セレクション」という枠でZOOMUSICコンサートを企画・実演しました。

KARMIC RELATIONSHIPS, ACCELERATED
[2023.2]

ベルリンで開催されたCTMフェスティヴァルの一環としてデーヴィッド・チュードアとインドの関係を中心に据えつつ、「カルマ」という概念を軸にしながら、その前日譚たる神智学/人智学など西洋神秘主義とインドとの交錯の歴史を振り返り、その後日譚として生じた一連の副産物を辿るレクチャーを行ないました。

芸術と技術の100年:
中井悠のデーヴィッド・チュードアと影響学
[2023.3]

メディア・アーティストの久保田晃弘さんにこれまでの研究や副産物ラボの活動についてインタヴューを受けました。いま考えていることややっていることをとてもよく掬いあげてもらいました。
【前編】 【後編】

プレテクスト:「東京現音計画#18|クリティックズ・セレクション2:中井悠|ZOOMUSIC」思い出話
[2023.7]

表象文化論学会のオンラインジャーナルREPREに、2022年12月に東京現音計画と行なったZOOMUSICコンサートの思い出話を寄稿しました。コロナ禍における三年越しのプロジェクトを振り返る内容になっています。
 【プレテクスト】

参加

副産物ラボの活動に関心のある方はご登録ください。
影響学セミナーや出版物などの情報を随時お届けします。
ありがとうございました。
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